臨床医学各論
臨床医学各論は国家試験で最も出題数が多い科目群(6年で約175問、午前の総合問題を含めると更に増える)。神経疾患・運動器疾患・血液疾患・感染症が主力で、症例形式の出題が多い。鍼灸臨床で出会う疾患が中心なので、症状から疾患を絞る「鑑別の型」を身につけることが最重要。
出題統計・重要度分布
年度別・この科目の出題数推移
各年度でこの科目から出題された問題数(6年計 178 問)
🗺 初学者向け学習ロードマップ
この順番で学習すると理解が積み上がります
ALS・ギラン・バレー・筋ジストロフィー・絞扼性神経障害から始める
被殻出血・失語・半側空間無視・末梢性/中枢性めまいの鑑別
初発症状で4型を鑑別する
OAのX線4徴、RAの変形、骨粗鬆症の三大骨折部位
ヘルニアと狭窄症の鑑別、L5・S1・C6の神経学的所見
貧血の分類(MCV)、白血病、ITP・血友病
ウイルス性肝炎・結核・食中毒の原因別特徴
黄疸の分類、肝硬変の合併症、急性膵炎
狭心症と心筋梗塞、左心不全と右心不全
COPD・喘息・気胸、閉塞性と拘束性の換気障害
糖尿病の合併症、甲状腺機能の亢進と低下
パニック障害・統合失調症・うつ病・発達障害
⭐ 第35回 学習優先テーマ(S・A級)
出題数 TOP18第29〜34回 合算(問数)
⚠ よく間違えるポイント
✗ ALSで「保たれる」もの
ALSは上位・下位運動ニューロンが障害される一方、感覚・眼球運動・膀胱直腸機能・褥瘡は末期まで保たれることが多い。筋萎縮と腱反射亢進が共存する点も特徴。
✗ 末梢神経麻痺の手の変形
下垂手=橈骨神経麻痺、猿手(母指対立不能)=正中神経麻痺、鷲手=尺骨神経麻痺。混同しやすいポイントなので整理しておこう。
✗ 認知症の初発症状で鑑別
近時記憶障害→アルツハイマー型、幻視・認知の変動→レビー小体型、人格変化・脱抑制→前頭側頭型、段階的悪化・まだら認知症→血管性。
✗ L5とS1の神経根障害
L5障害=足背の知覚障害・足関節背屈筋力低下。S1障害=足底の知覚障害・アキレス腱反射消失・底屈筋力低下。アキレス腱反射消失はS1。
✗ 狭心症と心筋梗塞
狭心症は労作時・数分・ニトログリセリン有効・ST低下。心筋梗塞は安静時・30分以上持続・ニトロ無効・ST上昇・心筋逸脱酵素(トロポニン・CK-MB)上昇。
🔮 第35回 狙われそうなテーマ
過去4年の出題推移・出題頻度・未出テーマをもとにした予測です
神経筋疾患・末梢神経障害
ALS・ギラン・バレー・絞扼性神経障害の症例問題が今後も続く見込み
変形性関節症・関節リウマチ
X線所見と特徴的変形の対応が今後も繰り返される見込み
脊椎疾患・神経根障害と徒手検査
症例形式で神経学的所見から高位診断させる問題が定番
血液疾患(貧血の分類)
赤血球指数から貧血を分類する問題が今後も続く見込み
認知症の鑑別
初発症状・画像所見からの4型鑑別が繰り返し出題
テーマ一覧(全19件)
感染症
A重要感染症 › 主要な感染症 › ウイルス性肝炎・結核・HIV・食中毒・上気道感染症
ウイルス性肝炎の感染経路(A・E型=経口、B・C型=血液・体液)。肺結核(空気感染・N95マスク・陰圧個室)。HIV/AIDSの日和見感染。食中毒の原因別特徴(カンピロバクター・ノロウイルス・腸管出血性大腸菌O157・アニサキス)。
6回
出題
血液疾患
S最重要血液・造血器系疾患 › 貧血・白血病・出血性疾患 › 鉄欠乏性貧血・巨赤芽球性貧血・白血病・ITP・血友病
貧血の分類:小球性低色素性(鉄欠乏性:血清フェリチン低下・TIBC上昇・匙状爪)、大球性(巨赤芽球性:ビタミンB12・葉酸欠乏)、正球性(溶血性・再生不良性)。急性骨髄性白血病はAuer小体・汎血球減少→易感染性。ITPは血小板に対するIgG自己抗体。血友病はX連鎖劣性。
6回
出題
消化器疾患(肝・胆・膵・消化管)
S最重要消化器系疾患 › 肝胆膵・消化管の疾患 › 肝硬変・肝炎・膵炎・消化性潰瘍・消化器腫瘍・黄疸
黄疸の分類:溶血性(間接ビリルビン上昇)、肝細胞性、閉塞性(直接ビリルビン上昇=胆石・膵頭部癌・胆管癌)。肝硬変の合併症(食道静脈瘤・肝性脳症・腹水)。急性膵炎(上腹部痛・血中アミラーゼ/リパーゼ上昇)。
6回
出題
腎・泌尿器疾患
A重要腎・泌尿器系疾患 › 腎・尿路の疾患 › 腎不全・ネフローゼ症候群・尿路感染症・尿量異常・前立腺肥大
ネフローゼ症候群の4徴(高度蛋白尿・低アルブミン血症・浮腫・脂質異常症)。乏尿は400mL/日以下、無尿は100mL/日以下、多尿は3L/日以上。前立腺肥大は排出障害(尿勢低下・残尿)、過活動膀胱は蓄尿障害(尿意切迫・頻尿)。
6回
出題
外傷・脱臼・スポーツ障害
A重要運動器系疾患 › 外傷と障害 › 骨折・脱臼・応急処置(RICE)・スポーツ外傷とスポーツ障害
RICE処置(Rest・Ice・Compression・Elevation)は軟部組織損傷の急性期。コーレス骨折(橈骨遠位端・手掌をついて転倒)、上腕骨顆上骨折(小児・正中神経障害を合併)、肩関節前方脱臼(腋窩神経障害・方形肩)。スポーツ外傷(急性)とスポーツ障害(使い過ぎ)の区別。
6回
出題
神経筋疾患・末梢神経障害
S最重要神経系疾患 › 運動ニューロン疾患・末梢神経障害・筋疾患 › ALS・ギラン・バレー症候群・筋ジストロフィー・絞扼性神経障害
ALSは上位・下位運動ニューロンの障害(筋萎縮+腱反射亢進が共存、感覚・眼球運動・膀胱直腸は保たれる)。ギラン・バレー症候群は先行感染後の急性脱髄。デュシェンヌ型はX連鎖劣性・ガワーズ徴候・腓腹筋仮性肥大。末梢神経麻痺(下垂手=橈骨、猿手=正中、鷲手=尺骨)。
5回
出題
変形性関節症・関節リウマチ・骨代謝疾患
S最重要運動器系疾患 › 関節・骨の疾患 › 変形性関節症・関節リウマチ・骨粗鬆症・くる病
変形性関節症のX線4徴(関節裂隙狭小化・骨棘形成・軟骨下骨硬化・骨嚢胞)。関節リウマチの特徴(早朝こわばり・対称性小関節炎・MP関節尺側偏位・スワンネック・ボタン穴変形・環軸椎亜脱臼)。骨粗鬆症の三大骨折部位(椎体・橈骨遠位端・大腿骨近位部)。
5回
出題
呼吸器疾患
S最重要呼吸器系疾患 › 気道・肺の疾患 › COPD・気管支喘息・肺炎・気胸・肺結核・肺癌
COPDは閉塞性換気障害(1秒率低下)・喫煙が主因・樽状胸郭。気管支喘息は可逆性気道狭窄・発作性呼気性呼吸困難。自然気胸は若い痩せ型男性に多く突然の胸痛・呼吸困難・患側呼吸音減弱。拘束性換気障害(肺線維症・胸郭運動制限)との区別。
5回
出題
脊椎疾患・神経根障害と整形外科的徒手検査
S最重要運動器系疾患 › 脊椎・末梢神経の障害 › 椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・頸椎症・徒手検査法
椎間板ヘルニア(若年・前屈で増悪・SLR陽性)と脊柱管狭窄症(高齢・間欠性跛行・前屈で軽快)の鑑別。神経根障害:L5=足背・足関節背屈、S1=足底・アキレス腱反射消失、C6=母指〜前腕橈側・腕橈骨筋反射低下。徒手検査(ラックマン=前十字靱帯、マクマレー=半月板、スパーリング=頸椎神経根)。
5回
出題
内分泌・代謝疾患
A重要内分泌・代謝疾患 › 内分泌腺・代謝の疾患 › 糖尿病・甲状腺疾患・副腎疾患・脂質異常症・痛風
糖尿病の三大合併症(網膜症・腎症・神経障害)。糖尿病神経障害は最も早期に出現し遠位優位・対称性(手袋靴下型)・アキレス腱反射消失。甲状腺機能亢進症(バセドウ病:頻脈・体重減少・眼球突出)と低下症(橋本病:徐脈・浮腫・易疲労)。
4回
出題
循環器疾患
A重要循環器系疾患 › 心・血管の疾患 › 虚血性心疾患・不整脈・心不全・脂質異常症
虚血性心疾患:狭心症(労作時・ニトログリセリン有効・ST低下)と心筋梗塞(安静時・30分以上・CK-MB・トロポニン上昇・ST上昇)。左心不全→肺うっ血・起座呼吸、右心不全→下肢浮腫・頸静脈怒張・肝腫大。心房細動はP波消失・RR不整。
4回
出題
眼科・耳鼻咽喉科疾患
A重要臨床医学 › 臨床医学各論 › 眼科・耳鼻咽喉科疾患
緑内障(日本の中途失明原因第1位)・白内障・加齢黄斑変性・網膜剥離・飛蚊症などの眼科疾患と、伝音性/感音性難聴・メニエール病・突発性難聴などの耳鼻咽喉科疾患。症例問題の形で問われやすいので整理しておこう。
4回
出題
精神疾患
A重要精神疾患 › 主要な精神障害 › 統合失調症・気分障害・不安障害・発達障害・認知行動療法
パニック障害は突然のパニック発作(数分〜30分で消退)+予期不安+広場恐怖で、SSRIと認知行動療法が有効。統合失調症の症状(妄想・幻聴・させられ体験)と区別。うつ病の回復初期は意欲回復に伴い自殺企図リスクが高まる。ASDとADHDの主徴の違い。
6回
出題
認知症
A重要神経系疾患 › 認知症性疾患 › アルツハイマー型・レビー小体型・血管性・前頭側頭型の鑑別
初発症状で鑑別:近時記憶障害→アルツハイマー型(海馬・側頭葉萎縮、アミロイドβ・タウ蓄積)、幻視・認知の変動・パーキンソン症状→レビー小体型、人格変化・脱抑制→前頭側頭型、段階的悪化・まだら認知症→血管性。
5回
出題
皮膚・アレルギー疾患・悪性腫瘍
B標準皮膚系疾患・腫瘍 › 皮膚・アレルギー・悪性腫瘍 › 帯状疱疹・アトピー性皮膚炎・アレルギー疾患・各部位のがん
帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化で神経支配領域(デルマトーム)に一致した片側性の水疱と神経痛。Ⅰ型アレルギー(IgE・肥満細胞・アナフィラキシー)。がん死亡数(男性は肺・大腸・胃、女性は大腸・肺・膵の傾向)。乳がん・骨腫瘍の特徴も確認。
4回
出題
女性生殖器・乳腺疾患
B標準臨床医学 › 臨床医学各論 › 女性生殖器・乳腺疾患
子宮筋腫・子宮内膜症・卵巣腫瘍などの女性生殖器疾患と、乳癌(超音波・マンモグラフィ・病理組織診)を中心とした乳腺疾患。2026年版で「女性疾患」大項目が新設され、産科領域(妊娠高血圧症候群、つわり/妊娠悪阻、骨盤位、女性不妊)も出題範囲に体系化された。
4回
出題
脳血管疾患・高次脳機能障害・めまい
A重要神経系疾患 › 脳血管障害 › 脳梗塞・脳出血・TIA・失語・半側空間無視・めまい
高血圧性脳出血の最好発部位は被殻。左中大脳動脈梗塞(右利き)→失語症、右半球病変→左半側空間無視。TIAは症状が24時間以内に消失しMRIで梗塞巣を認めない。末梢性めまい(回転性・耳症状あり)と中枢性めまい(持続性・平衡障害強い)の鑑別。
3回
出題
パーキンソン病・不随意運動
A重要神経系疾患 › 神経変性疾患 › パーキンソン病の4大症状・自律神経症状・不随意運動の種類
4大症状は安静時振戦(丸薬まるめ様)・筋固縮(歯車様)・無動/寡動・姿勢反射障害。仮面様顔貌・小刻み歩行・すくみ足。非運動症状(便秘・起立性低血圧・嗅覚障害・抑うつ)。本態性振戦は動作時振戦で区別。
3回
出題
高齢者に多い疾患(フレイル・サルコペニア・ロコモ・老年症候群)
C参考フレイル(J-CHS基準:体重減少・筋力低下・疲労感・歩行速度低下・活動量低下の3項目以上、可逆的)、サルコペニア(加齢による骨格筋量・筋力低下)、ロコモティブシンドローム(運動器の障害で移動機能が低下)、老年症候群(転倒・失禁・低栄養・褥瘡・せん妄など加齢に伴い高頻度となる症候)。2026年版で臨床医学各論に大項目「高齢者に多い疾患」が新設された。
0回
出題